同姓同名

 私が大学生だったとき、同じ学部の同じ学科に、なんと私と同姓同名の学生がいた。私の名前はそれほど珍しくもないが、そうそう偶然いるような名前でもない。私の学科の教授たちはすっかり困り果ててしまった。

 

 もう一人の森岡君は一浪して大学に入学していたので、当初は「一浪の森岡君」と呼ばれていたのだが、そのせいで彼の自尊心はすっかり傷ついてしまった。しばらくして、彼は少林寺拳法サークルに入部し、やがて「少林寺の森岡君」と呼ばれるようになった。彼は行く先々で拳法を披露し、女子学生にチヤホヤされるようになった。彼は幸せな大学生活を送った。

 

 いっぽう、私の方はやがて日本共産党に入党し、いつの間にか「共産党の森岡君」と呼ばれるようになった。そんなわけで、私のキャンパスライフは完全に「危険人物」のレッテルを貼られたまま終わってしまった。