太地のイルカ活動家に伝えたいメッセージ(その1)

多くの日本人活動家がそうであるように、私自身も2010年のアカデミー賞ドキュメンタリー部門賞受賞映画「ザ・コーヴ」を観て、初めて日本のイルカ猟問題の闇の深さを考えるきっかけを与えられた一人です。「コーヴ(畠尻湾)」の奥で何が行われていたのか、多くの外国人同様日本人であるわれわれさえほとんど何も知りませんでした。そのような意味で、リック・オバリー氏をはじめこの映画の製作にかかわった多くの外国人活動家に敬意と深い尊敬の念を持っています。
私たち東京の「海洋哺乳類を守る会 (Action for Maine Mammals)」は彼らの活動に啓発されて発足した団体だといっても過言ではありません。現在、日本のイルカ猟に反対する活動、南極海における調査捕鯨廃止に向けた活動、娯楽のために搾取され使役される海洋動物を救う活動を中心に行なっています。
日本人の活動家たちがイルカ猟問題解決のために主体的に活動しているという点において東京と太地は基本的に異なっています。
言うまでもなく、イルカの追い込み猟が主に行われているのは和歌山県の太地町です。ただ、その田舎の町でいくらイルカ猟をモニターしても現実は変わりません。外国人が漁師さんたちに猟の非人道性を講釈してもナンセンスです。需要(イルカショー)があるから供給(イルカ猟)があるのです。(捕殺の)許可が出ているから彼らは猟をして、イルカを食べているのです。そして、その許可を出しているのは「お上」である東京です。東京(霞ヶ関)が変わらなければ、太地も変わりません。日本という国は中心から変革しなければローカルの制度も意識も決して変わりません。残念ながら、現在の日本はそういう国なのです
SJDのコーヴ・モニター、SSCSのコーヴ・ガーディアンズ、その他太地で活動している外国人の活動家の方たちにひとこと物申したいと思います。外国の組織が日本の辺境の地に来て自分の裏庭であるかのように活動している現在のスタイルはあらゆる意味において正常ではありません。現在の太地における皆さんの存在とモニター活動は、日本への差別と偏見、憎悪を助長する作用以外になにももたらしません。不要であり無用です。もし「日本人の活動家を助けている」とでも考えているならば勘違いも甚だしい。皆さんのそれらの努力のいくつかは、自分たちの「かいらい」の団体を作るためのものと思われています。
なぜ太地の人たちが皆さんの存在にこれほどまでに反発するのか、立場を変えて考えてみれば容易に理解できるはずです。
海外の団体の活動家の努力が太地では逆効果になっている悲しい現実をもう一度考えてみるべきではないでしょうか。

これ以上コソコソと太地の僻地にこもっていないで、このあたりで東京に出てきて堂々と霞が関に意見してはいかがですか?問題の根源である水族館に抗議してはどうですか?日本の一般国民に対して啓発活動を行ってはいかがでしょうか?行くべき場所、やるべき作業はもっと他にたくさんあるはずです。「悲劇の現場」と「問題の現場」とは必ずしも同じ場所ではないということに、深く留意すべきではないかと思います。

太地の入り江で外国人が行うべき作業はもう存在しません。どうか太地から撤収してください。そして、団体の垣根、国籍の壁を越えて、東京で私たち日本人活動家と共に活動しませんか。私たちの努力はいつかきっと日本を変えることができるはずです。

海洋哺乳類を守る会代表 森岡敏明