テレビ朝日「ビートたけしのTVタックル」のアンケートに答えてみました

Q1:動物園・水族館は社会福祉・教育普及、そして動物の研究・種の保存を行う施設として考えられていますが、今回のように動物の福祉や動物の視点に立った配慮について考えたとき、動物園・水族館の存在意義、必要性はどこにあると思いますか?

A1:そもそも「社会福祉や教育普及」は人間本位の思考によるものであり、「人間の人間による人間のための」作業であり、その本質は動物たちの生態への一方的な「攻撃」です。動物園の本質とは動物たちにとっての巨大な「強制収容所」であり、人間のための「レジャー施設」です。

檻の中に入れられた動物たちを陳列する行為を以て「社会福祉・教育普及」と考えるならば、それは本来の目的とは真逆の効果しかもたらしていないことを認識すべきでしょう。とくに、子供たちが檻や水槽に入れられた動物たちを見てどのように考えるかは想像に難くありません。動物たちはあたかも動物園のような環境で人間に隷属して生きているものでしょうか。人間からエサを貰わなければ生きられないものでしょうか。動物園の動物たちを見て、あたかも「人間が動物たちの上に君臨するもの」、「動物とはお金を払って動物園で見物するもの」と誤解する子供もいるでしょう。そして、それは子供だけではないはずです。

「動物の研究・種の保存」についてですが、「動物の研究」は動物園でなくともできるものであり、「種の保存」に関しては、人間があたかも動物たちの存在や数量自体をコントロールすることのできる「神聖な生き物」であるかのごとき思考に基づいた誤った思想です。強調しなければならないのは、人間は動物たちの存在や数を決してコントロールすることはできない、そして倫理的にそのようなことはしてはいけないということです。

私の上記の主張については様々な反論があるのは十分承知しています。ただ、人間は動物たちと共生するべきものであり、檻に入れておくべきものではないのです。


Q2:動物の入手方法・飼育方法・動物たちの高齢化など、現在、動物園・水族館が抱えている問題があるとすればどんなことですか?

A2:
1.イルカの入手方法について
これまで世界の水族館のイルカたちの多くは「追い込み漁」という極めて非人道的な方法で捕獲されてきました。生体販売に利用されないイルカたちは子供たちと引き離され、殺されました。現在日本では生体販売がなければ、イルカ猟(イルカ追い込み漁)はビジネスとして存在しません。

イルカ猟が日本の「伝統である」と主張する方たちもいますが、イルカの生体販売は日本の伝統でしょうか?JAZAが主張するように、本当にイルカの「追い込み漁」が非人道的ではないなら、ブルーシートなどで囲まずに、堂々と一部始終をメディアに公開すればよいではないでしょうか。今回、せっかく水族館のイルカたちがどこから来たのか、国民的な議論として考えるチャンスであったと思われたのですが、メディアのミスリードによって一方的に議論が封殺されてしまいました。そして問題の所在があたかも「伝統」の問題であるかのようにすり替えられてしまいました。非常に残念なことだと思います。

2.水族館の「サーカス」化

現在、多くの水族館の目玉的な存在はイルカショーです。日本の54の施設でイルカを飼育しており、600頭以上のイルカが監禁されています。そのすべてでショーを行っています。イルカショーの集客がなければ経営が成り立たないとも言われています。イルカがジャンプして演技をするのを見て観客は拍手喝采をしますが、イルカたちが本当に好んで演技をしているのでしょうか?イルカの「笑顔」は本物なのでしょうか?

ここで強調しなければならないのは、イルカショーは単なる「ショー」ではなく、非人道的なサーカスであるということです。イルカを有する水族館はこのサーカスによって経営が成り立っていると言っても過言ではありません。

このように、現在の水族館・動物園の経営は動物(イルカを含むすべての動物)を拉致、監禁、搾取し、動物の権利(アニマルライツ)を彼らから剥奪することによって成立しています。そしてこの問題について子供たちから考える機会を強制的に奪っています。私たちは動物園・水族館の問題を訴えるとき、この「アニマルライツ」という言葉をキーワードに動物たちが抱える問題を訴えています。


Q3:動物園・水族館現在の在り方については世界中で様々な議論がなされていると思いますが、日本の動物園・水族館の在り方についてどのようにお考えですか?改善点があるとすればどんな点でしょうか?

A3:動物たちを檻や狭いプールに入れて展示していることの非人道性は筆舌に尽くしがたいものがあります。人間が檻に入れられてお金を払って動物たちに見物させられるという世界を想像してみて下さい。そしてその支払われたお金は新たな人間を拉致するための負の再連鎖を起こすことに使われるとすればどうでしょう?

動物園・水族館において動物たちを監禁する作業を行っている以上、問題の所在を隠ぺいするいかなる作業も改善とは言えません。私たちが考える改善とは、アニマルライツにもとづき、彼らの権利を保障するものだけです。そして、長期的には動物たちを自然に帰す作業につながります。彼らの人間への隷属を延長させる改善策は動物たちのためのようであって、結局はすべて人間のためのものなのです。

 

Q4:例えばイルカには人の心を癒すセラピー効果があると言われますが、水族館や動物園の意義において、動物を「ただ見て楽しむ」以外に、人に与えている好影響に関してはどのようにお考えでしょうか?

A4:一度発想を変えてみてはいかがでしょうか?

人間が動物園に行くのではなく、代わりに人間が動物たちのいる自然の中に行くのです。イルカショーに行く代わりに、彼らに会いに海にドルフィンウォッチングに行くのです。私たちは動物園や水族館では見られない、動物たちの本来の姿を見ることができるでしょう。そして、この姿こそが本来のあるべき私たち人間と動物との関係であり、好ましい距離だと考えています。

私たちは安易に、身近だから、簡単だから、安く済むから、癒されたいからなどという身勝手な理由で動物園や水族館に行っていませんか?私たちが動物園に支払うそのお金で彼らが捕獲され、搾取され、そして殺されているのです。

本来人間と動物の間にはいかなる檻も壁も存在しません。人間も彼らと同じ動物のひとつにすぎないのです。私たちに人権(ヒューマンライツ)があるように、アニマルライツの精神を理解するならば、私たちがむやみに動物園や水族館で動物たちからの癒しを求めてはならないと理解することができるでしょう。